その他の3次元視研究

1.螺旋運動残効
回転する螺旋形状パターンの運動残効は、回転方向とは反対の運動印象が生じるが、このとき、2次元での拡大(縮小)と3次元での進出(後退)とが知覚される。円の中心点で45度で交叉する8本の点線パターンを回転させて運動を作ると、両眼視条件では主として2次元での運動残効が、単眼視条件では3次元での運動残効が多く観察されるという(Wright & Day(35))。3次元視情報の程度が運動残効の出現の在り方に影響している。


2.手動水平位置固持操作と誘導運動
CRT上に水平に提示された線分を、その周囲を囲むドットが回転した状態で水平に保つことは難しく、ターゲット線分を回転方向へと傾斜させるある種のバイアスが生じる。これはターゲット刺激の周囲の回転による局所的な知覚的誘導運動にもとづくのか、あるいは、それが観察者自身の姿勢の傾斜を誘導し、その結果としてこの種のバイアスが起きるのかが、Prebic & Donnelly(27)によって検討された。ターゲット刺激の周囲に回転するドットを提示するが、この時、ターゲット刺激と周囲との間に奥行を設けた。その奥行はターゲット刺激の前、後、および同一面に両眼立体視で提示された。観察者には、回転する周囲の中に提示されたターゲット線分を水平に固持するように求めるとともに、誘導運動と観察者自身の傾きを報告させた。その結果、手動で水平位置を固持する操作へのバイアスと誘導運動とは密接に関連し、どちらもターゲット刺激と同一あるいはその背後の周囲に提示された回転運動に強く影響されることが示された。