視空間構造

1.能動的、受動的な自己受容情報とエンメルトの残像法則
 エンメルトの残像法則とは、残像の視えの大きさは残像投影面までの視えの奥行距離に比例するというものである。この法則によれば、残像の視えの大きさは、残像の投影面までの奥行手がかりが変化すれば、その大きさも変化することを意味する。暗室内で視覚的手がかりが見えなければ、非視覚的手がかりが視えの大きさに影響するこも、Gregory(1959)によって見いだされてる。Bross(4)は、暗室内で被験者の手および手に持たせた対象に対して陽性の残像を形成し、その手を視線にそって能動的あるいは受動的に移動させた後、視えの大きさを測定したところ、それはエンメルトの法則に従って変化することが示された。興味深いことには、手の残像はある大きさ以下には小さくならないことも明らかにされた。視覚システムには、手については一定の大きさを維持するしくみがあることが示唆される。