4.眼筋的要因による3次元視

4.1.近距離での奥行距離知覚
 20cmから120cmの範囲内におかれた対象の視かけの奥行距離が測定された(Viguier et al.(21))。奥行手がかり条件は、両眼視差と両眼輻輳に限定された。その結果、両眼視差と両眼輻輳がともに働く条件では、きわめて正確な距離知覚がなされた。しかし、両眼視差を除去し両眼輻輳要因に限定した条件では、40cm以下の距離では、距離知覚は正確になされたが、60cmを超えると過小視が生じた。また、観察者と対象との間の距離の半分、1倍、2倍の距離を見積もらせると、自己を実際の位置から10.4cmの位置に想定して距離評価をしていること、さらに両眼輻輳角度と距離知覚とは密接な関係を持つことも明らかにされた。このことから、腕の長さの範囲内の距離では、両眼輻輳は役に立つ奥行手がかりである。