5.その他の3次元視研

異なる視線を設定した3次元顔物体の乳児における認知
 Yamashita et al.(20)は、3次元表示した人の顔を提示されたとき、乳児が顔のもつ視線の方向が自分を視ているかあるいは逸れているかで顔認知が影響を受けるかをしらべた。顔は、図24に示したように、CGで作成し、連続して左右方向に向きを変えるが、このとき顔のもつ視線が常に被験者である乳児を注視する条件と顔の向きを変えるに伴い視線をはずす条件とが設定された。実験では、順応-新奇偏好法(familiarizarion-novelty preference)を用い、前テスト−順応手続き−後テストの順序で実施された。被験児は6月齢、7月齢、8月齢各24名であった。
 その結果、8月齢になってはじめて、顔のもつ視線が被験児を常に注視する条件で、乳児は順応刺激と新奇刺激を互いに識別できることを示した。これは、顔認知において顔のもつ視線が意味をもつことを示している。