89 正視化と眼球運動の関係。(A)眼球の発達とフォーカス(焦点)との関係でフォーカス距離が短いと近視、長いと遠視となり対象がボケて視える。(B)小サッケード(microsaccade)、絶え間ない眼球の動きあるいは1点注視のなかでのサッケード(ピンク色で表示)。(C)注視眼球運動は網膜上の輝度によって絶え間なく調整される。(D)カメラを100msの速度で動かし、眼球のドリフトに模した時のボケ(blur)のイメージ。(E)注視時の眼球ドリフトによる輝度の振幅変調は空間周波数とともに変わり、周波数の臨界期(kc)で最大となりそれを越えると小さくなる。周波数の臨界期(kc)は時間周波数とともに増大し、網膜上のイメージ量に伴い減少する。kc以下では眼球のドリフトによる増幅は自然シーンイメージのスペクトラル濃度を平均化する(点線)。(F)この効果は網膜への入力スペクトラムを平均化(白くする)するが、その程度は眼球のドリフトによって異なる。(G)ガングリオン細胞レベルでの眼球のドリフトによる時間的変調のスナップショット(左:小さいドリフト、右:速いドリフト)。注視対象のモジュレーションはドリフトが大きいとボケが拡大する。(HI )正視化中の入力スペクトラムの変化。2つのグラフはボケ(α)が異なると輝度の振幅変調の強さも異なることを示す。イメージが網膜上でシャープなほど空間的周波数の均質化は眼球ドリフトが小さい場合に大きくなるが、眼球ドリフトが大きい場合には限定的となる(Rucci & Victor 2018)