10月の台風





 
 もう
10月も末だというのに台風がやってくる。先週も日曜日に来たばかりだ。気象情報によれば、日曜日の9時現在、台風は高知県足摺岬の南約170km1時間におよそ35kmの速さで北東へ進み、台風の雨雲がかかっている地域では、激しい雨が降っているとある。中心気圧は975hPa、最大風速30m/sという。9月は台風のシーズンなので、台風が来てもあまり驚かないが、10月のしかも中旬以降の台風には驚かされる。台風は海水温と密接に関係し、この時期に台風が発生するのは地球規模での気候変動によるものだろう。

 かつては台風は野分けと呼ばれた。枕草子にも野分けで描かれている。「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀、透垣などの乱れたるに、前栽どもいと心苦しげなり。大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩、女郎花などの上によころばひ伏せる、いと思はずなり。」
 芭蕉も、
「吹とばす石は浅間の野分かな」と更科紀行のなかで雄大な浅間高原で会った野分けの風の激しさを詠んだ。
「颱風が掴んでゆする家の棟」
「颱風に仰臥の四肢をこわばらす」
日野草城の句。どちらも自然の猛威に縮こまる自分を詠んだ。

「夜の闇轟音響ろく颱風かな」 敬鬼

                     20171029