秋日和 2       





 今年は残暑も短く秋となり、風もない穏やかな陽がさす秋日和が続く。台風も梅雨明けに洪水を九州にもたらしたが、それ以降は、被害をもたらすものはなくてすんでいる。ただ、コロナウイルスによる2次パンデミックが起き、自粛と自制して、窮屈さはぬぐえない。  秋日和が続いたため、大根やほうれん草などの生育が良く、例年以上にすくすくと葉を伸ばし、また大根を大きくしている。さらに、山茶花が12月も半ばになると満開となり、花を咲かせた。例年だと年が明けないと満開にはならないが、これも暖冬だろう。

 日野草城は、秋の穏やかな陽射しを満喫し、そこから生まれた心身の状態を次のように詠んでいる。

「ただ生きてゐるといふだけ秋日和」

また、妻も誰に話すでもなく気持ちよさそうに独り言をつぶやき、それも聞いている私も安らぐ。

「きこゆるや秋晴妻のひとりごと」

子規も時雨が来るような冷たさには遠く、小春日和のような心地よさだという。

「時雨に遠く小春に近く秋晴れぬ」

「秋日和邯鄲の夢微睡まむ」 敬具

          20201215