秋彼岸





 

 彼岸の入りを迎え、あちこちで彼岸花が咲き出した。この花の色は真っ赤なのでよく目立つ。この時期、脂ののった秋刀魚がおいしいが、去年に続き不漁なため形のよい肥えた秋刀魚が手に入らない。スーパーの鮮魚店売り場で売られているものは、みな細く大刀ではなく小刀のようだ。それでも、欲には抗しがたく買ってきて焼くと、まあまあのお味だったので満ち足りた。

「うまさうに見れば彼岸の燒茄子」 子規

「ひよりよく奥嶽そびえ秋彼岸」 蛇笏

どちらの句もお彼岸を迎え子規は焼きお茄子に、蛇笏は遠望できる奧岳に、気分を良くしている。秋分の日でもあり、陽も風も、気温も穏やに過ごせる頃である。

「秋彼岸ツクツクボウシ死にきれず」 敬鬼

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