秋の暮れ
秋になると暮れるのが早くなる、というより急に早くなる感じだ。そう、まさに釣瓶落としのごとくだ。もっとも井戸を使うことが無いので釣瓶なんて今では知らない人が大半だ。言い換えれば秋の日はジェットコースタのごとし。
「あどけなく笑ふ顏さへ秋のくれ」
「うつくしう淋しき虹や秋のくれ」
「さびしさや一人にあまる秋のくれ」
子規が秋の暮によせた3句。いずれも秋の暮れは淋しいと詠む。
「たはむれに妻を背に負ふ秋の暮」
草城の句。戯れに妻を背負うことはないのに、それを行ったのはものを感じさせる秋だからという。
「二つ三つこうもり飛び交う秋の暮れ」
「立ち枯れの草ぼうぼうと秋の暮れ」
「秋の暮れ後先になる影法師」
「秋の暮れ影踏み踏み散歩かな」 敬鬼
2019年11月15日