天の川




 晴れた夜空には天の川がきれいに見える季節になった。天文学ではこれは銀河とよばれ、地球も太陽系もこの銀河に属している。わたしたちは銀河の内側から円盤状の形をした天の川を見るので川のように見える。
 七夕の伝説では、織姫は「こと座のベガ」、彦星は「わし座のアルタイル」で、天の川を挟んで向きあい、一年に一回の逢瀬という宿命を負わされた。これを人はロマンチックというが、一年に一回、しかも晴れていないと会えないとは過酷な運命だ。
 10年も前になるが、シドニー郊外の丘陵で見たミルキーウェイはその雄大さで忘れられない。空一面にミルクを流したように星の大河がかかっていたのを鮮明に想い出す。

「荒海や佐渡によこたう天の川」
「奥の細道」にある周知の芭蕉の俳句。空には天の川、下には荒海、そしてかなたに黒々とした佐渡島がある壮大な景観を、この句はイメージさせる。

「すゝしさや臍の眞上の天の川」
 正岡子規は「天の川」という句集で、天の川をさまざまに歌い込んでいる。そんな句の一つ。蒸し暑く裸で寝ていると、ちょうど真上、臍のあたりに天の川がかかっているという諧謔のある句。

「蒼い夜ミルキーウェイー滔々と」

                       20177月9日