鮎がおいしい季節になった。香魚ともいわれるくらいにその形といい、色合いといい、夏の清涼剤となる魚と言えよう。この魚は年魚とも呼ばれ、秋に河口で孵化し、浅瀬の海で過ごし春になると川を遡上して成長、また河口に降り産卵して一生を終わる。鵜飼いで捕る魚も鮎で、夏の河川を代表する川魚だ。成魚はおもに石につく藻を食み、また自分の食する藻の範囲を縄張りとして占有、侵入する他の鮎に攻撃をしかけて追い出す習性がある。オトリ釣りはこれを利用する。

「一群の鮎眼を過ぎぬ水の色」

「膳の上に鮎やくるみや山の宿」
どちらも子規の俳句。前者は川の中を素早く回遊する鮎の勇姿を、後者は膳の上の良き匂いのする鮎を胡桃と共に詠んでいる。鮎は日本の夏を豊かにする身近な魚といえる。

「川おもてはやての泳ぎ鮎の舞い」 敬鬼

                                   2018年8月4日