アザミ
散歩の土手にアザミがよく咲くのが目に付く。棘のある葉の中に紫色の花が咲いているのが麗しい。この野草には思い出がある。中学生の時、帰宅時のホームルームで皆で歌ってから帰宅するのが時にあったことである。なんでも担任の提案で歌うことになったからだと記憶している。昭和30年代初め頃のことである。
後にこのことを思い出してどうしてホームルームでこの歌を歌うことになったのかを調べてみた。「山には山の愁いあり 海には海のかなしみや」が歌いだしでよく覚えているが、昭和24年にNHKラジオ歌謡で発表され、伊藤久男が朗々と歌った日本の歌謡曲だとわかった。作曲は八洲秀章。作詞は横井弘。横井は長野県下諏訪に移住していた時に長野県の霧ヶ峰にある標高約1632mの八島ヶ原湿原で作詞したという。
アザミの花言葉は、すっと伸びた固い茎に由来して「独立」というそうである。アザミはスコットランドの国花であることもわかった。
「花薊蝶とまらんとして高く」 高浜虚子
「あざみあざやかなあさのあめあがり」種田山頭火
この花は愁いや悲しみ、孤高の印象を生むらしい。
「若き日の郷愁さそうアザミ花」 敬鬼
2022年6月22日