大根






 明日から11月、早朝はひんやりと冷気がさすようになり、水も冷たさが増してきた。晩秋になったのを実感する。
 庭の坪菜園では、大根の葉っぱが伸びてきた。9月初旬に種播いたもので何回か間引きを行い、成長が早くなった。ひと頃はショウリョウバッタが菜園に住み着き、葉を食い荒らされたが寒さが増したのでいつのまにかいなくなったようだ。大根もこの食い荒らされた葉を修復するように大きくなってきた。12月には大きな大根になるだろうから楽しみだが、この成長力には敬服し、76歳翁としてはあやかりたいと思う。

 種田山頭火は大根を詠んだ俳句が多い。

「大いに晴れわたり大根二葉」

「あんたが来てくれる大根もふとうなつてゐる」 

「大根刻む音淋し今日も暮れけるよ」

「ひとりぐらしの大根きりぼしにすることも」

「大根漬けてから長い手紙をかく」

どの句も平易な表現の中に、一人暮らしをする自分の姿を浮き立たせ、冬に向かう淋しさと哀感を詠んでいる。

「大根や秘めた力を白い身に」 敬鬼

          20201031