炎天







今年の梅雨は長く、また各地に大雨、崖くずれ、大洪水をもたらした。それでも7月下旬には、梅雨明け十日のごとくに、焼き付けるように強い太陽の日差しが毎日射すようになった。炎天だ。これから中秋が来るまでは夏本番、トマトや胡瓜、ナスが大きく、色つやも良く家庭菜園に実っている。今年はゴーヤも植えたので、ちょっと苦みのある実を炒って食するのが楽しみだ。

「炎天に蓼食ふ虫の機嫌かな」

一茶の句。あの苦い蓼を食べる虫のご機嫌もこの暑さはでは大変だなと気遣っている。

「炎天の 地上花あり 百日紅」 

虚子の句。人はみなうんざりしているのに、百日紅は炎天下でも生き生きと花をつけているな。

「其中一人として炎天」

山頭火の句。炎天の下、私は一人、一歩一歩しずかに歩いている。  

「炎天下生き物しずか鳴り潜め」 敬鬼

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