元朝








 2021年の元旦は大晦日からの雪景色であけた。何年ぶりかで雪が家いえの屋根にうっすらと積

もっていた。。暖冬と気象予想が出ていたので意外に感じたが、この年周りになると雪景色も寒い

ので閉口する。若ければ子犬のように公園内を走り回り、雪だるまを作るところであるが、炬燵で各

地の積雪の状況を蜜柑を食べながら視聴した。これはシベリアからの寒気が来たからだとわかった

。もっとも、住む所での積雪はせいぜい数センチといったところで、故郷のように雪が積もることはな

い。今から思い返すと、正月にはほとんど雪が道にあるか、あるいは氷が張っていた。これも懐かし

い正月の風情だった。

 「元朝の上野静かに灯残れり」

子規は元旦の朝を、何もとくには起こらず、大晦日からの灯りがばかりで静かなものだと、詠む。

「元朝の氷すてたり手水鉢 」

虚子も元旦の朝を特別なことはなく、前日と同じように、氷を捨てていると、詠む

「元朝や去年の火残る置炬燵」

 これは日野草城の句。元旦といえども昨日から続いていて、たしかに炬燵の火が残っている。

「元朝や万事を繋ぐ陽が昇る」 敬鬼 

  
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