白梅







 白梅や紅梅の花々が咲きそろった。近所のお宅の庭にも紅梅が静かに咲いている。梅の花は桜の花のような華やぎはない。それも各枝にぽつんぽつんと間を置いて咲くからだろう。花びらは5弁で中央から雄しべと雌しべが伸びている。雌しべは中央に太く一本、その周りに黄色い花粉をつけた雄しべが取り囲む。全体に気品のある姿だ。

「しら梅に明る夜ばかりとなりにけり」
与謝蕪村の臨終で詠んだ最後の俳句といわれる。天明三年(17831225日未明、68歳と記されている。当時としては長命といえよう。白梅が美しく咲く明け方なのにそれを楽しめなくてもう寿命がつきるのは残念だといった意味だろうか。

「白梅や老子無心の旅に住む」
金子兜太の句。梅は世俗を離れ、悠々自適な生き方を連想させるようだ。老子は道教の祖で、中国春秋戦国時代の思想家。

「白梅や楚々と花咲き共に散る」 敬鬼

                         2017226