半夏生
半夏生とは24節気夏至のなかのひとつ(72候)で、夏至から数えて11日目頃の7月2日前後をいう。半夏のいわれは、一説に、ハンゲショウ(カタシログサ)という草の葉がこの季節になると名前の通り白い斑が入り半分化粧しているようになるからとも言われる。この草はドクダミ科の植物で、湿地などに生え、「半化粧」の字も当てられる。
「半夏生白き夕べとなりにけり」
「まだ白の曖昧にして半夏生」
稲畑汀子の俳句。前者は半夏生の候の季節感、とくに夕べがいつまでも明るいことをそのまま詠んでいるし、後者は半夏生の葉の一部が白く化粧しかけている様子をそのまま詠んでいる。
夏至が過ぎ10日あまり経つと、紫陽花は盛りを過ぎ、夾竹桃が勢いを増してくる。この季節にはとくに梔子は雨の日などは、その香りが匂い立つので散歩しながらでもどこに咲いているのかが容易にわかる。
「薄月夜 花くちなしの 匂ひけり」
これは子規の俳句。ぼんやりとした月夜に書に飽き庭を見やるとどこからか梔子の香りが漂っているのに気がついた。風情のある一句。
「くちなしを艶なりといふ肯はず」
虚子の一句。誰かが梔子の花はなめらかで潤いがあり、強いて言えば色気があると言っていたが、その通りだと思う、詠じている。
「何だかなつかしうなるくちなしさいて」
放浪の俳人 種田山頭火の一句。梔子の花が咲いているのを見つけて幼き頃を想い出したのだろうか。
ここらで一句。
「くちなしや若さの香り夏の日々」 (敬鬼)
「くちなしの恋の香りや風に乗り」 (敬鬼)
2016年7月2日