春彼岸









 暑さ寒さも彼岸までという常套句があるが、今年は異常だ。というのも、春分の日をとうに過ぎたのにまるで真冬の寒さに戻ったかのような日々があるからだ。公園の桜もほんのりと赤みをさしたままで、まるで凍結されたかのようだ。開花時期は四月初旬にずれ込むだろう。
 彼岸と言えば、子どもの頃からぼた餅が仏壇に供えられ、そのお下がりをいただくのが楽しみだった。ぼた餅にははこの一年災いが身に降りかからないように、健やかに過ごせますようにという意味が込められていた。   
「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」

子規の句。もっともこのフレーズは子規の母の口癖とか。春を望む気持ちが強いため、少しの風の寒さにも敏感に反応しているからであろう。

「ととのはぬ陽気彼岸の常として」
稲畑汀子の俳句。その意味は子規の句と同様であろう。こちらの方は、期待する人の気持ちに対して気象条件が安定しないと詠んでいる.

「病み疲れいつのまにか彼岸かな」 敬鬼

                         2017326