蓮の花




 梅雨明け間近とみられ、集中豪雨が起きている。 この季節は24節句では小暑といい、夏至から15日目頃にあたる。これからは梅雨明け、子どもの夏休み、甲子園での高校野球大会、盆行事と続く暑い夏が始まる。真夏はわれわれ高齢者には、不眠、熱中症などしんどい季節だ。けれども、生きとし生きるものが輝き、一年のハイライトの季節とも思える。蝉はまだ鳴かないが、散歩道にあるお宅の庭先の甕や鉢に植えられた蓮が咲き出していて、眼を楽しませる。
 蓮はお釈迦さんの誕生地インドが原産である。池の中で育ち、大きな葉の間に白や桃色の花を水上に咲かせ、茎は蓮根といわれて食用となる。仏教では、蓮は極楽で咲く花ともいわれる。果実の皮はとても厚く、土の中で発芽能力を長い間保持することができる。千葉市にある東京大学検見川厚生農場の落合遺跡で発掘され理学博士の大賀一郎博士が発芽させることに成功したハスの実は、2000年前の弥生時代後期のものであるとう。この大賀ハスは善光寺大勧進の放生池でも沢山の蓮の花を咲かせているのを見たことがある。

「極楽や清水の中に蓮の花」
 子規は蓮の俳句をたくさん作っているが、そのひとつ。清らかな水の中に蓮の花が咲いていて、極楽を感じさせるという。

「興亡や千万の蓮くれなゐに
山口青邨の俳句。幾多の戦があり、たくさんの血が流されたことを連想させる蓮の花だと言う意味であろうか。

「遠き世の如く遠くに蓮の華
こちらは山口誓子の俳句 。遠き世とはあの世のことであろう。あそこに見える蓮は極楽を見ているようだと詠んでいる。

「極楽を甕水に浮く蓮に見ゆ」 敬鬼

                       2017715