初桜





 書斎の窓から見える公園の桜の花がほころんだ。例年より5日ほど早いようだ。ようやく春がめぐってきた。後期高齢者入りの年齢となると暖かくなるのが待たれる。梅は寒いときに咲くが、桜は暖かくならないと咲かないので咲くのが待たれる。公園には梅は植えられていないが、桜は必ずあるのでこの季節、団地のなかの10カ所ほどある公園廻りをするのは楽しい。ほとんどが染井吉野だが、八重桜もあり、かなり長く楽しめる。

 下記3句は子規、4句めは草城である。いずれも初桜を詠んだ。

「これはこれはあちらこちらの初桜」

 桜がほころびはじめ、そう感じてみるとあちらにもこちらにも咲いていると詠む

「むら鳥のさわぐ処や初桜」

 桜が咲き始めるとカケス、雀、そしてカラスも活発になる。春が来て暖かくなった。

「傘なくもぬれながら見る初桜」

 句に表されたとおり、春雨だから濡れても風流だと詠む。

「青空にひと枝咲きぬ初ざくら」

 草城は青空と薄桃色の初桜を対比し、自然の作る景がまことに彩なりという。

「初桜うつろう季節明かすかな」 敬鬼      

                   2019年3月22日