葉桜



 

 春にはめずらしく晴天が続き気温も上昇したために、桜もあっというまに葉桜に移行した。冬の間、天を指す枝ばかりだったので枝一面に吹き出した若葉は」、これはこれで美しく見応えがある。
 桜の花が散ると樹木全体が赤みを帯びる。これは花のめしべ・おしべが残るからだ。その後、全体が新緑に覆われ、まとこにみずみずしい若葉となる。
 葉桜は夏の季語とされる。初夏なのだ。

「夏の葉に春の匂ひやさくら餅」
子規の俳句。この季節の代表的な和菓子は桜餅だ。桜色の餅米で餡子を包み塩漬けした桜の葉で巻いたもので、見た目も味も美味といえる。まるで春を食しているようだと詠む。

「小供の声をちこちに葉桜照れり」
山頭火の俳句。公園の陽の射した葉桜の下で元気な子どもの声があちこちで聞こえる。葉桜も子どもも命の息吹を感じさせる。

「葉桜や生の息吹かけられり」 敬鬼

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