光の春



  

 光の春とは、春になると射す暖かで穏やかな日差しをいうようだ。冬が長くて厳しいロシアが待ち望んだ春の訪れをこのように表現していた。暗い春から光に満ちた春になったことの喜びを言い得て妙である。
 わが国では、春光ということばがあり、春の季語になっている。春の日の光、春の日ざし、春の景色をさす。
 高浜虚子は春光を季語につごのように詠む。

「門を出る人春光の包み去る」

「蒲公英に春光蒸すが如きかな」
寒い冬を通り抜け、春の陽の光が人も植物もやさしく包みむように照らす様子がイメージできる。

「春光や木々明明と包みおり」 敬鬼

                                               2019年2月15日