ツクツクホウシ










 今年は酷暑ともいえる夏になった。梅雨が8月初旬と遅くにあけてから連日35°を越える日が続いている。コロナ禍の上に猛暑が重なり、エアコンのある部屋にいることが多く、フラストレーションが溜まる。夕方でもじっとりと暑く、ほとんど無風なのでウオーキングにも躊躇してしまう。
 でも、こんな夕方、家の前にある公園からツクツクボウシが鳴くのを聞いた。そうか、こんなに暑くても季節は晩夏で秋に向かっているのだと実感したことだった。

「ツクヽヽボーシ明日無キヤウニ鳴キニケリ」
 子規の句。聞きようによっては、法師が今生限りと鳴くように聞こえる。

「しづけさのきはまれば鳴く法師蝉」
 日野草城の句。クマゼミや油ゼミ、ミンミンゼミは昼下がりの暑いときに暑さを倍加させるように鳴くが、ツクツクボウシは単独で透き通るように鳴く。

「法師蝉遠ざかり行くわれも行く」
 西東三鬼の句。ツクツクボウシの鳴き声に聞き惚れ、蝉が移るように自分も行く、あるいはついて行きたいと詠む。

「夕暮れに鳴いて気冷ます法師蝉」 敬鬼

                      2020818