金木犀2





 
 昼と夜の長さが等しい日だ。これからは夜が少しずつ長くなる。日照時間はこれからは冬至まで平均して2分程度みじかくなる。夕方の日課である散歩も、いままでは5時15分頃にでても明るいうちに帰ってこられたが、もう5時前に出ないと帰りは薄暗くなる。まさに釣瓶落としの如く宵闇が迫る。この薄暗い中からよい匂いが鼻をつく。金木犀だ。散歩の途次、よく寄る公園にはけっこうに大きな金木犀が5本以上あり、周りがよい香りに包まれる。ここのブランコに腰掛け、夕闇迫るあかね色の空を見上げながら香を楽しむ。

「朝飯に木犀匂ふ旅籠哉」 子規  
旅の旅籠で朝飯を食していると、金木犀の香りが漂ってきた。よくある朝の一コマを切り取った俳句。

「木犀の匂かくれぬ日和かな」 草城   
風もない秋の一日、金木犀がどこからともなく匂ってくる。

「木犀やブランコ揺らし匂うかな」 敬具    


                                  2017
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