鯉のぼりそしてこいのぼりの歌





 ゴールデンウイーク時期になると、花冷えも終わり天気が安定して五月晴れとなる。雲ひとつ無く、空は青く澄み、風もさわやかで散歩していてもまことに気持ちよい。夕方散歩の途中、鯉のぼりを上げているお家が散見される。とくに、風に吹かれて翻る姿は勇ましく活力を感じさせる。これは、子どもたちの健やかなそしてたくましく育って欲しいという願いが込められていて、見る方もこころ楽しくなる。わが家も、子どもたちが小さい頃に、庭にポールを立てて大きな真鯉や緋鯉そして吹き流しをそえて揚げ、子どもが喜び跳ね回っていたことを思い出す。

やねよりたかい こいのぼり
おおきいまごいは おとうさん
ちいさいひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

これはよく知られたこいのぼりという童謡で作詞者は近藤宮子、作曲者は不明とされている。1931年に発表されたが長年作詞者不詳とされ、1993年に裁判の末に作詞者として認められたという数奇の運命をもつ童謡だ。「チューリップ」もこの人の作詞だ。

「夕栄に四五本里の幟かな」
虚子の句。夕映えのなかに数本の鯉のぼりを立てている里が見えるが、ああ端午の節句だと祝う風情ある光景だ。

「旅の身は電柱に倚り鯉幟」
 中村草田男の俳句。歩き疲れて電柱によりかかり見上げると鯉のぼりがへんぽんと翻っている。旅をする身にはひとしお疲れをいやす光景だ。

「孫たちの弥栄願う」 敬鬼

                          201955日