茄子のお好み焼き





  

 お盆の季節になると茄子がおいしくなる。わが家庭菜園でも長なすを栽培していて、720日頃から収穫し、そろそろ枝を切って更新剪定し秋茄子の収穫に備えるところだ。
 茄子はインド原産らしい。日本には奈良時代にはすでに食していたという記録が有り、江戸時代には庶民の食するものとなった。茄子は中身がスポンジ状なので油をよく吸い、油炒めがおいしい。わが家では茄子のお好み焼きと称して、茄子を細く切ったものを小麦粉にまぶし、それをフライパンで炒めると茄子のお好み焼きになる。これは、わが家に伝わる茄子の料理で、これを砂糖だまりで食すると茄子のおいしさがひきたち素朴ながら美味である。家族以外のものにも好評で、娘は職場で昼にふるまうとあっというまになくなるそうだ。
 茄子の実は濃い藍色または黒、花は薄紫色で、これも風情ある色だ。中心のおしべが黄色、そして5弁の花びらがつつましくついていて、なにかしら心落ち着かせる花びらといえる。 

「ふだん着の俳句大好き茄子の花」

 上田五千石の俳句である。「萬緑や死は一弾を以て足る」、「秋の雲立志伝みな家を捨つ」などが代表作だ。奇をてらったり、技巧を凝らした俳句ではなく、日常生活を活写した普段着の俳句が大好きだと作者は考え、そこでよく見れば、どこか茄子の花のもたらすイメージに似ているといっている。

「学寮に畑あり茄子の花むらさき」

 山口青邨の俳句。東大教授で鉱山学者。これは大学の学寮の畑に咲いた茄子の花をみたまま詠んでいる。その花のむらさきに素朴な印象を深くしたのだろう。

「剪定し秋なす待つや坪畑」  (敬鬼) 

                        2016820