大梅雨




今年の梅雨は日列島に一週間以上も長く停滞し、大雨を降らしている。もっとも数年前からこんな「数年に一度の大雨」に警戒するようにという警報がたびたび気象庁から出る。温暖化に原因すると如実に感じられる。熊本県の球磨川は大雨で洪水と崖崩れが生じ、鹿児島県と大分県も含めて60有余もの犠牲者が出ている。人的にも物的にも大被害だ。しかもコロナウイルス禍のときに踏んだり蹴ったりのようだ。このような気象による被害は逃げることしか避ける方法がないのが疎ましい。

 梅雨の大雨の句。

「大梅雨の荒梅雨の底にわが病める」 草城

草城は梅雨時は温度と湿度が高く不快なので、気持ちも鬱ぎ、持病が強くなると詠む。

「梅雨はげし百虫足殺せし女と寝る」 三鬼

 百足(ムカデ)に噛まれると激痛が走るので、女房が叩いて殺した。害虫といえ命を奪った女とそのまま寝ることはすさまじいと感じている。 

「梅雨ごもり読本一つ母一人」 草田男

雨では外出もままならず家にこもり、積んで置いた本を読むが、何か物足りない感じがぬけなかったが、母がいてくれるので安らぐ。

「大梅雨やひねもす語る老い二人」 敬鬼

                 2020710