黄金週間








 アメリカと北朝鮮の間のきな臭さとともに、黄金週間が巡ってきた。今年は、うまく休日を取ると9連休だそうだ。もっとも、リタイアしてからはこの種の連休にわくわくすることもなくなった。というのも、この期間の旅行などは混雑していて避けたくなり、家庭菜園でもいじっているのが身に合っているからだろう。
 この季節はもっとも麗しい。木々は新緑、花はチューリップをはじめツツジ、藤、花水木、そして小手毬などが咲き乱れる。風も肌を刺すような冬のものから香気をはらみ木々の葉をさらさら揺らすそよ風になる。これらが視覚、聴覚、嗅覚、触覚を通して感じられるので心豊かだ。70歳を過ぎた身には愛おしいほどだ。自分にはすでに去った命の息吹に感応するのだろう。ささやかな家庭菜園で胡瓜、トマト、茄子など夏野菜でも植えよう。

「あけぼのやよろこび色に花水木

上田五千石の俳句。1957年大学を卒業した戦後の俳人。「俳句は「いま」「ここ」「われ」の詩であり、時空の一期一会の交わりの一点において一句が成る」とする「眼前直覚」論を説いた。夜明けの光に照り映える花水木の花の色から曙を喜び色と詠んだ。

「鳩を見てをれば妻来て花水木」

 石田波郷の俳句。1913年生まれ。人間性に深く根ざした作風を追求し人間探求派と呼ばれた。なんと言うことのない俳句だが、妻を呼び寄せる花水木の花の色の見事さを詠んでいる。

「花水木なにやら語らう老い二人」敬鬼

                         2017429