秋刀魚









 一昨年から不漁といわれた秋刀魚が豊漁らしい。行きつけのスーパーでも中型の秋刀魚がお行儀良く並んでいる。さっそく、買い求めて焼き秋刀魚とし大根おろしをつけると秋が来たなと感じ入った。
 秋刀魚は幾分酸味のかかった濃厚な脂身の味とその刀のような流線型の形に特徴がある。 庭でコンロを持ち出し焼いたものだった。というのも、秋刀魚を焼くとモウモウと臭いのきつい煙があがりお隣さんは今晩は秋刀魚だなとすぐわかった。。さんまを秋刀魚と表すようになったのは大正時代のことで、詩人佐藤春夫が「秋刀魚の歌」を発表してからのことという。

「隣人のこめかみ憂しや秋刀魚食ふ」
石田波郷の俳句。秋刀魚を食うと、かつてのあるいは今の憂しことを思い出されるのであろうか、それが隣人のこめかみに見えるとう。

「さんま大漁その一ぴきの焼かれけり」 

久保田万太郎の俳句。回遊していた大群の1匹が焼かれ、いま俺が喰おうとしているが、何の因果だろうか。

「目をこすりこすりの煙は秋刀魚かな」 敬鬼

                       2018年9月7日