さるすべり








 さるすべりの花が咲き出した。この花はひと夏中咲いていて、夾竹桃と同様に夏を彩ってくれる。この樹木は成長すると新しいすべすべした感触の樹皮が表面となり、サルも上れなくなるので名づけられたが、実際にはサルは登れる。さるすべりは百日紅と書くのが正しい。というのも紅色の鮮やかな花を多くつけるからである。もっとも花には白色もある。この樹木はあまり大きくならないので庭木としても使われ、道路からも紅色の花がよく見え、夏の日差しにも良く映える。

「きらきらと照るや野寺の百日紅」

「又しても百日紅の暑さ哉」
2つとも子規の俳句。紅色の百日紅が夏の陽の照りをうけて輝く様を詠んでいる。子規がたくさんの百日紅の俳句を詠んだのは夏にふさわしい花と感じていたからだろうか。

「さるすべり夏の終りのはげしさに」
 夏の終わりがきてもなお暑い日々が続くが、百日紅も疲れをみせずに見事に咲いていると草田男は詠む。

「百日紅浮き輪かかえて子どもたち」 敬鬼

      

                                       2018年7月28日