清明 








 4月に入ったが、肌寒い天気が続き、万物がすがすがしく明るく美しいころである24節句の清明にはほど遠い。桜もちらほらと咲き出したが身をすくめてしまっているようだ。

「清明の水菜歯ごたへよかりけり」
 鈴木真砂女の俳句。清々しい季節に青々とした水菜の歯ごたえも心地よい。まさに春が五感に押し寄せている。

「一つ葉や清明の滝懸りたる」
 阿波野青畝の俳句。一つの新芽に清らかな滝のしずくがかかっている。まるで日本画のような景色を詠んでいる。清明に節句にふさわしい。

「清明の路ゆく媼が念珠かな」
 飯田蛇笏の俳句。清明は中国や沖縄では墓参りの頃である。この句はそれを踏まえたものであろう。

「お清ましし新たな門出清明かな」 敬鬼

                          
                       
201741