新雪








 センター試験の日だが、朝から小雪が降ったり止んだり。窓から見える公園の芝生には2センチほど積もっている。それでも今冬最初の雪なので、飽きずに降る雪を眺めた。雪は鉛色の空から次から次へとまっすぐに、ときには舞いながら降ってきて、地面や草の上に積もっていく。いつしかもっと降れ、もっと積もれと念じるから不思議だ。もし10センチほどもつもれば、雪だるまが作れる。そんな子供じみた魂胆からだろう。中谷宇吉郎は、雪の結晶の研究から、雪は天からおくられた手紙と断じた。

「いくたびも雪の深さを尋ねけり」
正岡子規の句。雪はロマンでもあり、生活苦ともなる。どのくらい積もっただろうかと子どものように知りたい心境を詠んでいるととらえたい。

「しべりあの雪の奥から吹く風か」

寺田寅彦は物理学者だ。その目で降雪見ると、雪はシベリアの奥からもたらされたものとその遠さを詠嘆している。 

「初雪を口をあんぐり男の子かな」 敬鬼

                        2017115