鈴蘭
わが家から少し離れた公園の土手に数メートルにわたって鈴蘭が植えられてる。ご近所の方が十数年前に苗を植え、それが増えたものだ。いま、見頃の白い小さな、まるで鈴のような可憐な花で一杯で、その香りも強い。
鈴蘭は北海道のものと思っていたので意外な気がした。というのもNHKの朝ドラで「すずらん」というドラマがあり、印象に残っていたからだ。これは北海道のある寒村の駅に捨てられたいた女の赤子の成長の物語であった。捨て子という設定がドラマテックにした。それから二十数年、この鈴蘭を見つけてからはなつかしく毎年見に行く。
鈴蘭はその姿に似ず、花や根に毒をもつ。嘔吐、頭痛、心臓麻痺などを起こすというから怖い。鈴蘭を食することはないが、山菜と間違うと大変なことになる。
「みちのくのもりをかの駅鈴蘭嬢」
山口青邨の俳句。盛岡を旅しているときの花と乙女の可憐さを組み合わせて旅情として詠んだものだろう。
「鈴蘭の花を振り出す小風なる」
中村草田男の句で、小さな花を揺らすそよ風が、まるでそこから湧いてくるようだと詠んでいる。
「鈴蘭やことしも甘く香飛ばし」(敬鬼)
2017年5月13日