泰山木 

 

 

 わが家の玄関横に植えたタイサンボクが咲き出した。これは15年ほど前に植木市で購入した若木を植えたもので、すでに5mほどに成長し、毎年8個程度の花を咲かせる。真白なはなびらは10cmもあって差し渡し20cmもあるような大きな花を咲かせる。花びらの数は10弁ほどもあろうか。

 タイサンボク(泰山木)とはモクレン科の常緑高木で、アメリカの中南部が原産で日本には明治初期に入ってきたらしい。英名はMagnoliaという。この大きな白い花から花言葉は「前途洋々」「壮麗」「威厳」だそうだ。

 タイサンボクは泰山木と漢字で表すが。由来ははっきりしない。泰山(標高1,545m)は中国山東省にある山で封禅の儀式が行われるところとして知られている。封禅は帝王が天と地に王の即位を知らせ、天下が太平であることを感謝する儀式ということだ。始皇帝をはじめ前漢の武帝や北宋の真宗など十数人が、この儀式を行ったと伝えられている。現在は道教の聖地で多くの寺院が建ち並び、ユネスコの世界遺産(複合遺産)に登録されている。

「たまたまたづね来てその泰山木が咲いてゐて」

これは漂泊の俳人 種田山頭火の俳句。きっとその白く雄大な花に感じ入ったのだろうか。

「ロダンの首泰山木は花得たり」

これは角川書店を起こした 角川源義の詠んだもので、ロダンの首と泰山木の白い花の奇妙な取り合わせがなぜかという問いを発せさせられて面白い。

「万緑に泰山木の花二つ

日野草城の句。泰山木は木そのものが大木なので、その白い花は万緑のなかに埋め込まれているように咲く。

 この大輪の花は、その形状が花びらが大きく、蘂の根元は紅に、その中心の柱には無数の黄色名雌しべが付いている。花そのものが大きくどっしりとしているばかりでなく、遠くからも感じることのできるを放っている。

「朝日受け泰山木や香放つ」 敬鬼

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