大暑




  

 



 

 八月に入り、ますます暑さが厳しくなってきた。八月一日は元日から213日目、大晦日まで152日目に当たる。24節気では、大暑から立秋のちょうど真ん中頃で、気温、湿気とも高く、真夏を実感させる。
 暑さで弱った体力を回復させるウナギの蒲焼きを食すると良いという夏の土用は、暦の上では大暑の数日前から始まり大暑の間中続く。
 歳をとると、暑さは苦手となる。若いときは炎天のなかテニスや水泳をして汗をかき、暑気払いと称して生ビールを飲んだものだが、いまや昔のこととなった。まあ、年齢に合わせて暑さを乗り越えたいものだ。

 「犬の子の草に寝ねたる熱さ哉」
 子規の俳句。確かに犬は暑がりだ。汗腺がないために口から舌を出して体内の熱を放熱している。飼い犬のクウタローも、地面を湿り気のあるところまで深く掘り、体を丸めて寝転んでいた。そこは地面が冷たくて気持ちよいのだ。

 「熱き夜の寝られぬよその咄かな」
 これも子規の俳句。熱帯夜は眠れないことが多い。夜静まれば、小さな私語でも耳に付く。それをそのまま詠んでいる。

 「蓋あけし如く極暑の来りけり」
  星野立子の俳句。高浜虚子の次女。女性俳人では同時期に活躍した中村汀女・橋本多佳子・三橋鷹女とともに四Tと称されたという。暑さを蓄えている天の神の壺の蓋が開いたような暑さだ表現している。

 「かみなりや光に浮かぶお化けあり」(敬鬼)

 「校庭に水引き走る雷雨かな」(敬鬼)

                             20168月1日