卯の花




 紫陽花と共に卯の花が満開だ。卯の花はアジサイ科に属する落葉低木で正式名はウツギという。円錐状に多くの小さい白い花を搭状につける。卯の花という名は、ウツギのウからとられたという。
 この卯の花の咲く時期から旧暦4月を卯月という。卯の花を有名にしたのは、
「卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ」という唱歌からであろう。
「夏は来ぬ」は、佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲の日本の唱歌で、明治295月(1896)に発表された。現在は日本の歌百選に選出されている。日本の歌百選というのは、平成18年(2006)に日本の文化庁と日本PTA全国協議会が選定したもので、親子で長く歌い継ぐ童謡、唱歌、歌謡曲など愛唱歌101曲がある。「早春賦」、「夏の思い出」、「里の秋」、「お正月」などがある。

「卯の花や妹か垣根の朝ほらけ」
子規の俳句。子規は卯の花を詠んだ句が多く、「卯の花」という句集も出している。早朝、子規の妹が卯の花の咲いている垣根にただずんでいる光景を詠んでいる。

「卯の花や町のとまりは善光寺
卯の花」句集に所収。卯の花の咲く季節に善光寺を訪ねたときに詠んだ句。この季節は雨が多く、雨に閉ざされた善光寺の門前町は風情があると感じたのだろうか。

「卯の花や歌詞ひとりでに口ずさむ」 敬鬼

                       2017617