盂蘭盆会





  

 

 
 
 

 お盆に入った。7月にお盆の行事をするところもあるが、多くは8月に行うようだ。身近な人を供養する仏行事で、813日に祖霊を迎え、14日、15日で供養し、16日にお送りするのが一般的だ。13日の夕、迎え火で樺を焚く。16日夕には送り火で樺を焚く。子どもの頃にはこの樺を焚くのが楽しみだった。というのも、その後で花火で遊べたからだった。  

 14日には、お供え物としてお焼きを母親は作った。これは小麦粉の皮をお饅頭のように丸め、そのなかに小豆や茄子、カボチャなどを餡子にして蒸したもので、おいしかった。子どももお手伝いをした。でもすぐには食べられない。まず、仏様に供え、その後でみんなでお相伴になるのだった。もちろん、墓参りも欠かせない。お墓を掃除して水をかけ、お花をお供えして、線香を立てお参りするのだった。墓地の中では、あちこちのお墓で同じ事が行われていて、線香の煙が鼻をついた。まだ幼くても心を静めて写真でしか知らないご先祖様をお参りしたものだった。

「盆に分けて栗は少し芋と豆」

 子規の俳句。仏様に栗と芋そして豆をお供えした。いずれも今年とれたものだ。家族が食べるこういったつましいものが仏のお供えとなった。

「盆過の小草生えたる墓場哉」

 これも子規の俳句。お盆の時は墓参りで賑わう墓地も、それを過ぎると秋風が吹き、きれいに刈った雑草もまた生えてきてわびしくなると詠んでいる。

「盆灯籠浮かぶ面影懐かしき」(敬鬼)

                            

                       2016813