雨水









 立春も過ぎ、暖かな日が増えてきたが、寒さがぶりかえすこともしばしばだ。三寒四温、三日寒く、四日暖かな日が周期的に来る。これは、シベリア高気圧の勢力がほぼ7日の周期で強まったり弱まったりするからだという。
 立春のあとには二十四節句の雨水がくる。220日頃だ。降るものが雪から雨に変わり、雪が溶け始めるころと記されている。この時節から寒さも峠を越え、春一番が吹き、鶯が鳴き出し、そしてお百姓さんが農耕の準備を始める。

 「心和ぐ明日は雨水と聞きしより」

水原春郎の俳句。水原秋桜子の長男、医師。雨水は田畑に春を呼ぶばかりでなく人の心も和らげる。こんな心境を詠んだ一句。

 「書道部が墨擦つてゐる雨水かな」

大串章の俳句。佐賀県嬉野町出身の俳人で、会社勤務の傍ら作句し、後に「百鳥」を創刊し、主宰した。墨を擦るという行為は心を一段と落ち着ける。しかも暖かさが増してきた雨水の時節はさらなりと詠んでいる。

「畑鋤く土の和らぐ雨水かな」 敬鬼

                       2017211