雪景色




 今朝、眼を醒ますと一面の雪景色だった。白黒の世界に変わり、その光景に見入った。北からの低気圧が陸から東北にかけて大雪をもたらし、その余波を受けて夜の間に雪景色に変えたものだった。積雪は数センチであったが、家の屋根や公園の樹木に積もり、しだいに晴れてきたので、くっきりと白と黒の墨色の世界が生まれたようだ。

 もっとも、この景色に感嘆し、蛇笏は、一夜にしてこのように演出する自然の力を、

「雪景にいふことなくて朝の刻」、と詠む。

 子規は景色の後の残された美しくない世界を思い、次のように詠んだ。

「銀世界すんでそろそろ泥世界 」

 他方、草城はこの雪景色を愛でようと熱い焙じ茶を入れて、

「焙じ茶の熱しかんばし雪景色」 と詠んでいる。

「目覚めればまるで墨絵の雪景色」 敬鬼

            
                                                         21年1月29日