3次元視研究の展開

目 次

まえがき

第1章 3次元視研究の背景
1. 視覚研究の課題と方法
 1.1. 視覚心理学からのアプローチ
 1.2.視覚生理学からのアプローチ
 1.3.視覚計算機科学からのアプローチ
 1.4. 視覚研究の課題と方法
1.2. 3次元視研究のこれまでの研究成果
 2.1. 両眼視差による立体視
 2.2. 運動要因による3次元視視
 2.3. 絵画的要因による3次元視
 2.4. 人間の3次元視の発達
 2.5. 動物の3次元視の発生

第2章 両眼視差による3次元視
1. 両眼立体視における対応問題
 1.1. パヌムの限定条件が提起する問題
 2.2. ダ・ヴィンチ・ステレオプシスと対応問題
 2.3. ダブルネイル錯視が提起する問題
 2.4. 対応問題の新たなモデル
 2.5. エピポーラ線の拘束条件の可否
 2.6. 対応問題における多義性問題の解決としての最近接視差対応の原理
 2.7. 対応問題における最小近似(proximity)原理
3. 両眼立体視を可能にする視差条件
 3.1. 対応問題での色相要因
 3.2. 両眼視差間の外挿、誘因と反発、および平均
 3.3. 複数の視差の平均化の理論
 3.4. シア・ディスパリティ(shear disparity)
 3.5. 大きさ視差(size disparity)とシア視差(shear disparity)
 3.6. 水平視差と垂直視差との連関
 3.7. 垂直大きさ視差(vertical size disparity)処理のために必要な空間範囲
 3.8. 方向視差の役割
 3.9. ステレオグラムの対応部分の明るさコントラストの逆転条件での両眼立体視
 3.10. 逆転の輝度対比をもつステレオグラムの立体視とトランジェント過程
 3.11. 視差がなく輝度変化のみによるステレオグラムの両眼立体視
 3.12. 継時的両眼立体視(sequential stereopsis)
 3.13. 色彩立体視(chromostereopsis)
 3.14. ダイナミック・ランダム・ドット・ステレオグラムの両眼立体視
 3.15. 両眼立体視での奥行残効と視差勾配(Disparity Gradient)
 3.16. 2重像下での両眼立体視
 3.17. ランダム・ドット・ステレオグラム(RDS)における単眼非対応領域の役割
 3.18. ステレオグラムにおける位置要素と方向要素の効果
 3.19. 両眼視差にもとづかないステレオグラムの立体視
 3.20. ステレオモーション(stereo-motion)のメカニズム
4. 両眼視差からの立体の復元
 4.1. 両眼視差を用いての立体視再現の正確度
 4.2. 両眼視差勾配と立体視量
 4.3. 両眼視差および運動からの形状復元における体系的歪み
 4.4. 両眼立体視での相対的奥行距離と絶対的奥行距離との関係
 4.5. 両眼立体視における奥行恒常性
 4.6. 垂直視差におけるパースペクティブ成分の左右差と相対的奥行距離知覚
 4.7. 対象の回転運動情報からその3次元世界の計量的構造を構成することが可能か?
 4.8. 両眼立体視における傾斜面の視えの角度を規定する要因
 4.9 3次元表示のための有効な方法
5. 両眼立体視の処理過程
 5.1. 両眼立体視を担う神経生理学的過程
 5.2. 両眼立体視モデルにおける線形(一次)機構と非線形(二次)機構
 5.3. 両眼立体視の計算機モデル
 5.4. 両眼立体視からの形状復元と運動からの形状の復元の統合過程
 5.5. 交差視差処理過程と非交差視差処理過程
 5.6. 前注意過程における両眼視差と運動情報の処理
 5.7. 両眼視差の検出と前注意過程
 5.8. 両眼立体視における左右視野の対応の程度と輝度コントラストの相関
 5.9. AND両眼視過程とOR両眼視過程
 5.10. 両眼立体視過程と単眼視過程
 5.11. 両眼立体視での単眼的要因の抑制
 5.12. 左右逆転視野と両眼立体視
6. 両眼立体視と空間周波数
 6.1. 両眼立体視と空間周波数
 6.2. 空間周波数チャンネルと両眼視差の大きさとの関係
 6.3. ステレオマッチングにおける空間周波数チャンネルの相互作用
 6.4. 両眼立体視過程での方向特性についての応答選択性
 6.5. 両眼立体視での運動残効と空間周波数選択特性 
 6.6.トランジエントな両眼立体視システムにおける空間周波数と輝度コントラスト   の同調
 6.7. 滑らかな眼球追従運動による両眼立体視の阻害
7. 両眼視差と他の奥行手がかりとの関係
 7.1. 両眼視差要因とテクスチャ要因の統合
 7.2. 両眼視差とテクスチャ要因の相互作用
 7.3. 両眼立体視におけるテクスチュア、照明と表面反射との関係
 7.4. 両眼立体視における奥行手がかりとしての蔽−被蔽要因
8. 両眼視差の生理的機構
 8.1. 両眼立体視の視覚領での受容野特性
 8.2. 両眼立体視の神経生理的基礎
 8.3. color opponentチャンネルとbroad-bandチャンネル
 8.4. 第1次視覚野(V1)領域での両眼視差と輻輳の相互作用
 8.5. 両眼視差検出および明るさに基づく運動方向検出のための2種類の両眼視細胞
 8.6. 脳梁(corpus callosum)および視覚有線野の外側(extrastriate visual area)と両眼立体視  閾
 8.7. 視交叉、外側膝状体を経る神経回路と視覚野の統合
 8.8. 両眼立体視運動欠陥者
9. 両眼立体視力、両眼立体視閾、および両眼視融合限界
 9.1. 超視力、超分離視力、間隔分離視力
 9.2. 明るさコントラストと空間周波数の立体視力への影響
 9.3. 両眼立体視下での視力
 9.4. 両眼立体視閾の測定における刺激の同時提示、刺激の空間的近接要因と眼球運動
 9.5. 両眼立体視閾と両眼輻輳
 9.6. 両眼視融合限界と視野角
10. 両眼立体視とその他の知覚現象との関連
 10.1 ステレオ・キャプチャ
 10.2. 奥行対比効果(depth contrast)
 10.3. 両眼立体視で出現する形態輪郭の補完
 10.4. 両眼立体視条件下での視対象の奥行次元での知覚的牽引と反発
 10.5. プルフリッチの振子現象
 10.6. ステレオ・キャプチャとオクルージョ
 10.7. 両眼立体視的奥行対比と明るさ対比との類似
 10.8. 2つの奥行面にまたがる輪郭の統合過程
 10.9. 両眼立体視における単眼的要因とキクロピアン要因の相互作用
 10.10 両眼立体視における錯視的輪郭(illusory contour)の生成

第3章 運動視差による3次元視
1. 運動要因からの3次元形状の復元過程
 1.1. 対応問題と剛体性条件
 1.2. 運動要因からの形状復元のコンピュータ・モデル
 1.3. オプティカル・フローからの3次元構造復元
 1.4. オプティカルフローと頭部方向の知覚
 1.5. 運動要因からの形状復元における異性体構造
 1.6. 運動要因からの形状復元における2過程
 1.7. 運動要因からの形状復元における面の外挿
 1.8. 運動要因からの構造復元と新しい奥行運動錯視
 1.9. トランスレーションとローテーションからの3次元形状の復元
 1.10. ホリゾンタル・シアとバーティカル・シア
 1.11. 1次運動検出器と2次運動検出器
 1.12. 速度差からの奥行出現の問題
2. ステレオキネティク効果
 2.1. ステレオキネティック効果
 2.2. 運動視差からの形状復元、ステレオキネシスによる形状復元と両眼視差からの形状   復元との比較
 2.3. ステレオキネティク効果と主観的輪郭
 2.4. 運動視差とステレオキネティク効果(stereokinetic effect、SKE)との関係
3. キネティク・デプス効果(運動の奥行き効果、KDE)
 3.1. ダイナミック・ヴィジュアル・ノイズ(Dynamic Visual Noise DVN)による立体視
 3.2. キネティク・デプス効果と凝集性、奥行程度、剛体性
 3.3. キネティク・デプス効果と光学的不変項
 3.4. キネティック・デプスにおよぼす運動速度と運動範囲
 3.5. キネティク・デプス効果と両眼立体視との関係
 3.6. KDEの神経細胞ネットワークモデ
4. 運動視差による3次元視
 4.1. 運動視差と立体面の出現方向(depth order)
 4.2. 運動視差での奥行反転と観察者の頭部運動
 4.3. 観察者の頭部運動と3次元形状の識別
 4.4. 自己生産的運動によるドット間の縮小・拡大と奥行判断
 4.5. 観察者の頭部運動の方向
 4.6. 運動視差と奥行恒常性
 4.7. 運動視差による対象の奥行定位
 4.8. 運動要因と両眼視差
 4.9. 運動視差と両眼視差の手がかりの統合
 4.10 両眼立体視過程と運動要因による立体視過程は同一のメカニズムによるか
 4.11. 運動視差過程と両眼視差過程の相互作用
 4.12. 奥行相対距離と大きさ知覚に及ぼす運動視差、両眼視差の手がかり効果
 4.13. 運動要因とテクスチャ要因の統合
5. オプティカル・フローと自己運動感覚
 5.1. オプティカル・フローと自己移動錯覚
 5.2. 奥行視における自己受容的運動感覚情報の役割
 5.3. オプティカル・フローと眼球運動
 5.4. オプティカル・フローと観察者の自己運動の知覚
 5.5. オップティカル・フローにおける「観察者-運動」と「対象-運動」
6. 運動要因による3次元視の生理的機構
 6.1. 運動の検出と両眼視差との関係
 6.2. 奥行方向への運動に選択的に応答する神経細胞
 6.3. 大脳半球切除による機能障害をもつものの運動による奥行視
7. その他の研究
 7.1. オキュラー・オクルージョン(ocular occlusion)
 7.2. スリットを通しての運動対象の観察
 7.3. 運動視における窓問題
 7.4. 運動残効による奥行視
 7.5. フリッカーにもとづく奥行出現
 7.6. 絵画的奥行情報と運動的奥行情報の相互作用
 7.7. 3次元表示へのステレオキネティク効果の応用

第4章 絵画的要因による3次元視
1. 絵画的要因からの形状の復元
 1.1. オクル−ジョン(蔽−被蔽要因)にもとづく対象の復元
 1.2. テクスチュアからの形状の知覚
2. 絵画的要因の3次元視効果
 2.1. 陰影要因による立体視
 2.2. 陰影要因による立体視の多義性と拘束条件
 2.3. 熟知的大きさ要因(familiar size)
 2.4. 陰影あるいはテクスチュアから形成された形状面上の距離と位置知覚
 2.5. テクスチュアによる傾斜面の知覚
 2.6. テクスチャ勾配の奥行効果
 2.7. ボケ(blur)要因の立体効果
 2.8. モアレパターンにおける運動視と3次元視
3. 主観的輪郭図形と3次元視
 3.1. 主観的輪郭図形の3次元視構造
 3.2. 主観的輪郭図形とオクルージョン

第5章 奥行手がかりの統合過程
1. 奥行手がかりの統合についての理論モデル
2. テクスチュアと運動視差の手がかり統合
3. 奥行距離、形状、大きさの処理過程の独立性
4. 観察者の経験方略にもとづく複数の手がかりの統合
5. 陰影要因とテクスチュア要因の統合

第6章 3次元視の発生と発達
1. 人間および動物における両眼立体視の発達と学習
 1.1. 両眼立体視の発達
 1.2. 乳児の両眼視融合、両眼立体視と両眼視力の測定
 1.3. リスザルの両眼立体視能力と眼優位性分化
 1.4. ダイナミック・ランダム・ドット・ステレオグラムによるマカクの両眼立体視
 1.5. ウマの両眼立体視能力
 1.6. プリズム装着による両眼立体視阻害と両眼視ニューロンの損傷
 1.7. RDSにおける学習効果
2. 絵画的要因の発達
 2.1. 陰影要因の発達
 2.2. 線遠近法的要因の発達
 2.3. オクルージョンの発達
2 .4. 3次元配置対象の描画表現の発達
3. 踏台あるいは障害物のアフォーダンスについての発達的研究
4. 視覚的断崖法による研究
 4.1. 左半球切除と視覚性断崖回避行動
 4.2. 鉛中毒と視覚性断崖回避行動
 4.3. 視覚領破壊と視覚的断崖回避、方向定位、眼球振盪
 4.4. 視覚的陥穴迷路学習
5. 跳躍法による研究
 5.1 跳躍法を用いた奥行距離の手がかり分析
 5.2. ラットにおける運動視差要因
6. 動物の絵画的要因による3次元視
 6.1. モルモットにおける網膜像の大きさの手がかり
 6.2. ブタオザルと絵画的要因
7. 視覚経験操作による3次元視への影響
 7.1. ネコの単眼視覚経験剥奪と両眼奥行視
 7.2. 生得的微細斜視をもつネコの両眼奥行視
 7.3. 両眼輻輳を歪めて育てたネコの両眼視
8. 奥行距離知覚とV4領域のニューロン

第7章 眼筋的要因による3次元視
1. 眼球調節と両眼輻輳のメカニズムについてのモデル
2. 輻輳要因の順応的再修整
3. 熟知的大きさ、暗示的大きさと輻輳作用
4. 眼筋の自己受容的感覚情報が3次元視の発達に及ぼす影響
5. バーチャル・リアリティ(VR)と眼筋要因
 5.1. VR空間での眼球調節作用
 5.2. ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)使用前後の眼筋機能の比較
 5.3. バーチャルな視対象への手指によるポインティング
 5.4. 健常眼者と斜視者のHMDディスプレイでのステレオ視
 5.5. HMD(Head Mount Display)と視覚機能のダメージ

第8章 視空間構造
1. 大きさの恒常性
2. 水平距離と垂直距離の知覚
3. 世界が3次元であることを、ある日、突然、認識した者についてのケーススタディ
4. 月の錯視
5. 視空間の構造と視覚に指示された行動との関係
6. 絶対的奥行距離と視かけの運動方向との関係
7. 観察者と対象が奥行方向に動く事態での対象の奥行距離知覚
8. 観察者の移動による絶対的奥行距離の変化と運動対象の速度変化
9. 視えの大きさ判断過程と測量的大きさ判断過程

第9章 バーチャル・リアリティと3次元視
1. バーチャル・リアリティ(VR)とは何か? 
2.バーチャル・リアリティと3次元の視覚世界
3.バーチャル・リアリティの視空間特性
 3.1.視空間の双曲空間特性
 3.2. 知覚恒常性
 3.3. バーチャル・リアリティ空間の視覚特性

参考文献